Aleksandra Nowysz
ポーランド・ワルシャワ拠点。建築家、ワルシャワ生命科学大学の建築学部の研究者。都市農業建築に関する建築・都市計画の博士号を取得。また、オパヴァのクリエイティブ写真研究所で学び、Sputnik Photos collectiveメンタープログラム卒業。研究と専門的な実践を美術と社会的な関わりと組み合わせる。2022年9月に沖縄で滞在制作行った。
ステートメント
コンクリートの下には、川がある !
Beneath the concrete, the river!
サンゴ礁の生態系の音に魚が引き寄せられることが発見されました。科学者たちは、この現象を利用して、生態系の衰退を逆行させることに成功しました。魚は音に引き寄せられ、死にかけたサンゴ礁に戻り、その生命を刺激するのです。
今、あなたはガーブ川の川床に建てられたコンクリートの建物の中にいます。スピーカーからは、サンゴ礁が魚を呼び寄せる音が聞こえています。つまり、人間以外の生物も、あなたと一緒にこの展覧会に参加していることになります。写真では、建物のコンクリート表面が水分の影響を受けている様子を写しています。これは、川に落ちるはずの雨が、コンクリートの床で止まっているのです。また、防水が傷んでいると思われる場所では、毛細管現象(注1)の結果、川から流れてきた水でもあります。
タイトルの "Beneth the concrete, the river!"は、1968年のパリのスローガン、"Beneth the pavement, the beach" (fr. Sous les pavés, la plage!) にちなんでいます。これは、社会的・政治的システムの硬直した枠に覆われてはいるが、自由はあるのだという願望を表しています。この言及によって、私は沖縄の現代史、つまり米軍の存在と米軍基地のためのコンクリート生産、そしてそれが現在、主にコンクリート建築となった沖縄の建築に影響を与えたことを想起させたいと考えています。さらに、軍事施設は、サンゴ礁を含む地元の生態系、特に現在の辺野古の埋立地に影響を及ぼしているのではないでしょうか。
(注1)毛細管現象とは、細い管状物体(毛細管)の内側の液体が、外部からエネルギーを与えられることなく、管の中を移動する物理現象。
ART NAHA / Cross Border プロジェクトについて
沖縄から海外へ、海外から沖縄へ。境界線を越えて「対話」することをテーマに、上映プログラムやインスタレーションなどの作品を展示する。本プロジェクトでは、沖縄の歴史や文化など根底に触れる上映プログラムとこれまでに沖縄との関わりがある海外拠点のアーティストの展示で構成される。