Yuni Hong Charpe

東京都生まれ。アーティスト。2005年に渡仏、2015年にパリ=セルジー国立高等芸術学院を卒業。現在はフランスと日本の2拠点で制作を行う。媒体はパフォーマンスを中⼼とし、映像やインスタレーションなど多岐にわたる。作品は多くの場合、場所の歴史や個⼈的な記憶についての考察から始まり、規範化した属性より構築されたアイデンティティへの疑問から、その多重性と不安定性を探求する。
https://www.yunihong.ne

レジデンス
  • 2016 Maisons Daura
  • 2020 フランス国立ダンスセンター
  • 2022 城崎国際アートセンター
        Honolulu-Nantes
ワークショップ
  • 2022 《オリエンタル・ダンス・クラブ》城崎国際アートセンター/ICA京都
受賞歴
  • 清流の国ぎふ芸術祭Art Award In the Cube 2020審査員賞(村瀬恭子)
  • 広島現代美術館ゲンビどこでも企画応募2017審査員賞(島 敦彦)
  • ミュルーズ青年国際ビエンナーレ015グランプリ
参加した展覧会
  • Enregistrer, CNEAI=, フランス, 2022
  • 65e Salon de Montrouge, Le Béffroi, フランス, 2021
  • ART AWARD IN THE CUBE 2020, 岐阜県美術館, 日本, 2020
  • 100% performances, Grande Halle de la Villette, フランス, 2019
  • Festival Escales Liées, Villette Markerz, フランス, 2018
  • Festival PERFORM, Art Sonje Center, 韓国, 2017
  • IMAGES MOBILES, Ygrec, フランス, 2017
  • Grand Bassin, ミュルーズ市民プール, フランス, 2017  など。

2022年12月にはアーティスト・コレクティブAd Morningsのメンバーとして、Place of Living Information(OPEN SITE 7 | TOKAS Recommendation Program)に参加予定。

ステートメント

Still on our tongues

フランスには昔、標準語を普及させるため学校で行われた言語政策があった。地域言語を話した生徒はロール紙を渡され、それを手放すためには、他の生徒が地域言語を話すのを見つけなければならない。1日の終わりに紙を持っていた生徒は罰せられた。
今回、沖縄の言葉に興味を持って調べるうちに、方言札制度について知り、類似点に驚いた。調べると、フランスの制度が沖縄へ伝わったという説もあるようだ。自分の話したい言語で話す権利は誰にも侵すことはできないはずだが、人間や社会はすぐには変わらず、歴史は繰り返すこともある。今回の作品では、この方言札という仕組みを違う方法で繰り返し、再考したい。

言語政策がとられていたフランスのブルターニュ地方のお菓子「ビスキュイ・ブレトン」の作り方を那覇語に翻訳したレシピを設置する。ビスケットは、沖縄に存在した方言札を想起させるような形に型抜きされている。観客は自由にレシピを持ち帰り、記載されたQRコードから、作り方の動画も見ることができる。会期中には、那覇市内で実際にビスケットを焼く予定だ。
タイトルの《Still on our tongues》は、まだ舌の上にある、という意味だ。言葉もビスケットも、口の中で消えてしまう、こうした消えてしまうものをどう記憶に留めておけるか?という問いから出発している。